2023年4月22日
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3PL(サードパーティロジスティクス)とは:メリットとデメリット

物流コンサルタント 谷井勇太

物流業界では多様なサービスを提供する企業が存在し、その中にはサードパーティ物流(3PL)と呼ばれる業者もいます。本記事では、3PLが何であるのか、その利用によるビジネス上のメリットとデメリットについて解説します。

3PLとは何か?

3PLとは、企業が物流業務の一部または全部を外部の専門業者に委託する形態を指します。3PL業者は、商品の保管、輸送、配送、在庫管理、包装、出荷作業など、物流全体の流れを管理し、業務効率化とコスト削減を実現します。

3PLのメリット

1. 物流コストの削減

一番のメリットは、物流コストの削減です。3PL業者は物流のプロフェッショナルであり、効率的な物流システムを提供します。自社で物流システムを構築・運営するよりも、3PLを利用した方が低コストで質の高いサービスを受けることが可能です。

2. 物流費の変動費化

自社で物流業務を行う場合、大量の在庫を保管するための倉庫や、大量の商品を運搬するためのトラックなど、固定費が多くなります。しかし、3PLを利用すれば、必要な時だけサービスを利用でき、物流費を固定費から変動費にすることが可能になります。

3. コアビジネスに専念できる

物流業務を外部に委託することで、自社の人材をコアビジネスに集中させることが可能になります。これにより、新製品の開発やマーケティング、営業活動など、直接的な利益を生む活動にリソースを集中することができます。

3PLのデメリット

1. 物流のノウハウを蓄積しにくくなる

物流業務を全て外部に委託すると、自社内で物流のノウハウが蓄積されません。これは、将来的に自社で物流を行う際や、3PL業者との交渉時に不利となる可能性があります。

2. パートナー選びの難しさ

3PLを選択する際、業者選びは非常に重要な決定となります。しかし、委託先の業者が適切に業務を遂行できるかどうかを判断するのは容易ではありません。その業者が真剣に業務を行い、信頼できるパートナーとなるかどうかは、一度契約を結んでみなければ分からないケースもあります。

3PL導入時の際の注意点

具体的には、以下のようなステップを踏むことで、3PLの効果的な活用が可能となります。

1. ビジネスニーズの明確化
まず最初に、自社のビジネスニーズを明確に理解することが求められます。どのような物流サービスが必要なのか、そのスケールはどれくらいなのか、将来的にどのように変化する可能性があるのか等を把握することが重要です。

2. 3PL業者の選択
次に、自社のビジネスニーズに合った3PL業者を選択します。ここでは、業者の信頼性、サービスの質、コストパフォーマンス等を検討するとともに、自社との文化的適合性も考えることが必要です。

3. 実行と評価
3PLの活用を実行し、その結果を定期的に評価します。3PL業者との連携を通じて、物流業務の改善と最適化を進めていきます。

3PLの活用は、企業の物流業務を効率的に運営する一方で、ビジネス全体の成長と拡大に寄与します。そのため、上記のステップを踏みながら、自社にとって最適な3PLの活用方法を探求することが求められます。その結果、企業の競争力強化と成長加速につながることでしょう。

まとめ

3PLは物流業務を効率的に運営する強力なツールとなり得ますが、それには信頼性の高いパートナーとの適切な関係が必要です。コスト削減、専門知識の活用、ビジネスに専念するメリットを最大限に活かすためには、適切な業者選びと契約が不可欠です。その一方で、コントロールの喪失、パートナー選びの難しさといったデメリットも理解し、これらに対する対策も念頭に置くことが重要です。

物流はビジネスの成功に直結する重要な要素であり、その最適化は企業成長の大きなドライバーとなり得ます。そのため、自社のニーズと目標に最も適した物流戦略を選択し、それを効果的に実行することが求められます。その中で、3PLの活用は有力な選択肢の一つと言えるでしょう。